【この記事を書いた人】
CLASSIX株式会社 営業/終活アドバイザー
地域ぐるみのサポートの意義やサービスの種類および事例と活用法を紹介
「高齢で一人暮らしももう限界かもしれない」
「独居高齢者をサポートしてくれる自治体サービスはないのかな？」
高齢の親と離れて住む方や、身寄りがない高齢者の方にとって、一人暮らしの限界はシビアな問題ですよね。現代は、5人に1人の高齢者が一人暮らしをしている時代だといわれています。高齢者の一人暮らしは、今後ますます増える見込みです。自立して一人暮らししている高齢者がいる一方で、地域から孤立してしまう独居老人も多いことから、見守りサービス・活動の拡充が課題となっています。
見守りサービスにはさまざまな提供元がありますが、自治体でも一人暮らしの高齢者が生活しやすくなるための持続的な取り組みを行っています。要介護認定がなくとも利用できるサービスもありますが、認知度の低さから、実際には自治体独自のサービス利用者は多くはありません。
そこで本記事では、自治体における高齢者の見守りに関する取り組みを紹介します。各地域の事例やサービスの活用法も紹介していますので、高齢者でもよりよい一人暮らしを実現するコツを知りたい方はぜひ参考にしてください。
一人暮らしの高齢者へ向けた自治体の見守り
一人暮らしの高齢者の生活には、さまざまな困難や生きづらさにつながる要因が潜んでおり、よりよく生きていくためには第三者によるサポートが欠かせません。高齢者を含む全住民の福祉の充実を目指す自治体においても独居老人へ向けたさまざまな取り組みがなされていますが、そのうちの1つが「見守り」です。
そこで、以下の3つのパートにわけ、自治体における見守りの重要性をさらに深く理解していきましょう。
- 自治体が提供する高齢者の見守りとは
- 独居高齢者を地域ぐるみで見守る意義
- 自治体における高齢者見守りサービスの実施状況
それぞれの内容をくわしく説明します。
自治体が提供する高齢者の見守りとは
「見守り」とは、一般的には緊急事態の迅速な察知・通報のためのシステムを指します。しかし、自治体に求められる役割は、緊急通報だけではありません。現在、住民同士のつながりの希薄化は深刻な問題になっており、高齢者の暮らし向きに与える影響が懸念されています。周囲から徐々に孤立していく高齢者も増える中で、自治体には地域性を活かした生活サポートや見守り活動の推進・啓発も含めたさらに広範なネットワークの構築が求められています。
自治体における見守りの方法は、主に次の3種類です。
- 緩やかな見守り：地域住民などによる声かけや日常的なさりげない気配り
- 担当による見守り：民生委員・自治団体などの担当者が定期訪問や安否確認
- 専門的な見守り：専門知識のある組織の職員による諸問題のケア
参考：第4版 高齢者等の見守りガイドブック｜東京都福祉保健局
自治体では、地域単位という狭い範囲だからこそのメリットを最大限に活かした活動を推進しています。それぞれ専門性や役割が異なる見守りを個人の意向もふまえて組み合わせ、ICT機器も導入して利活用しながら効果的な支援につなげているのです。
地域のつながりを活かし、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるネットワークを「地域包括ケアシステム」といいます。（参考：地域包括ケアシステム｜厚生労働省）地域包括ケアシステムにおいては、単独の自治体だけではなく、近隣の市区町村と連携して活動を展開することも重要です。地域包括ケアシステムの構築をとおし、住み慣れたまちでの自分らしい生き方の実現を目指す取り組みが推進されています。
独居高齢者を地域ぐるみで見守る意義
一人暮らしの高齢者は、地域全体での見守りが欠かせません。独居高齢者を地域ぐるみで見守ることには、次の6点の意義があります。
- 安否確認
- 地域および近隣住民とのつながり創出
- 家庭におけるけが・病気の防止
- 健康の維持・増進
- 日常生活における家事のサポート
- 介護保険サービスの周知および利用勧告
安否確認
一緒に暮らし、日常的に見守る家族のいない高齢者の安否確認です。もっともポピュラーな見守り目的であり、命を守ることにも直結します。
地域および近隣住民とのつながり創出
定期的に出かける場所を作ったり、挨拶しあう相手を見つけたりする活動です。いきがいができるきっかけ作りや、自分らしい生き方の模索を目的としています。
家庭におけるけが・病気の防止
高齢者の家庭における、急な怪我や病気の早期発見および対応を行います。高齢者は、軽微な事故や転倒などが大けがにつながりやすいためです。
健康の維持・増進
栄養バランスの取れた食事やレクリエーションなどの軽い運動を提供・実施します。健康的な生活の維持・向上が主なねらいです。
日常生活における家事のサポート
ちょっとした家事や、外出時のサポートを行います。足腰の衰えから日常動作に困難が増えたお年寄りの生活の扶助です。
介護保険サービスの周知および利用勧告
要介護・要支援の認定チェックを行うことで、支援や介護を必要とする高齢者を発見します。障がいの程度にもとづいてケアプランを策定し、適切なサポートを提供することが可能です。
自治体における高齢者見守りサービスの実施状況
日本全国を対象とした「認知症施策・地域介護推進課実施状況調べ」によると、令和4年4月1日現在において、43の都道府県で見守りネットワークの連携が実施されていることがわかりました。
市区町村単位でみると、全体の95%に及ぶ1,658の自治体で認知症高齢者の見守り事業を実施しており、そのうちの86%にあたる1,429が見守りに関するネットワークを構築しています。
また、同調査では調査対象の半数を超える市町村においてGPS等を活用していることもわかりました。自治体による見守りに、ICT機器の活用が進んでいることが伺えます。各自治体では、ポストコロナもふまえ、ICTを活用したさらなる見守りの拡充が求められるでしょう。
（参考：全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料｜厚生労働省 認知症施策・地域介護推進課 ）
自治体に求められる一人暮らしの高齢者見守りの役割や意義、実施状況を確認しました。ただ言葉の意味どおりの役割だけではなく、地域の特性を活かした幅広い支援が必要です。近年、ほぼすべての自治体において認知症などの高齢者の見守りが実施されていますが、ICTの活用も含め、さらなる展開が期待されています。
地域自治体における見守りサービスの概要を解説してきましたが、実際にどのような方法で提供されているのでしょうか。次の章では、地域自治体による高齢者見守りサービスの類型とその特徴を紹介します。
地域自治体による高齢者見守りサービスの種類
地域自治体が提供する高齢者見守りサービスの類型は、主に次の7種類です。
- 定期訪問
- 電話・お便り
- 配達・宅配
- ITツールの貸与・購入の補助
- 地域交流の活性化
- 日常生活の扶助
- 民間との共同事業
担当者の派遣や自治体独自のサービス提供のほか、地域企業と連携した事業の展開も実施されています。各サービスについて、詳細を確認していきましょう。
定期訪問
一人暮らしをしている高齢者の自宅に、民生委員や社会福祉協議会職員が定期的に直接訪問するスタイルの見守り方法です。目視による安否確認ができるため、小さな異変に気づきやすく、細やかな対応ができます。生活状況の聞き取りをとおし、人との会話やふれあいが確保できる点も人間関係が希薄になりがちな独居老人にとって大きなメリットです。
しかし、血縁関係にない他者による直接の訪問に難色を示す高齢者も少なくありません。そこで、自らの健在を示す共通のサインを決めておき、直接対面を避けた安否確認を実施する事例もあります。
電話・お便り
電話連絡やハガキの郵送により、定期的な安否確認や健康状態の聞き取りを行う見守りです。高齢者自身が自宅から所定の見守り施設にダイヤル発信するタイプや、メールの送受信でやり取りするものもあります。また、事前に訪問し、安否確認がとれなかった高齢者にのみ電話をかける自治体もあるようです。
電話やお便りであれば、訪問より頻回の連絡が可能なため、日常的な会話ができる点がメリットです。一方、不在時や高齢者本人が忘れていたときは、安否確認が確実に取れません。また、電話・メールの受発信など本人にも何らかの作業が必要なため、日常動作に困難がある方にとっては負担になる場合もあります。
配達・宅配
郵便物や荷物の配達、配食サービスなどにともなう安否確認を行います。食事の管理も同時に行えるため、見守りとしての意義だけではなく健康増進にも役立ちます。一人暮らしの高齢者にありがちな栄養不足を補えるうえ、調理や後片付けの手間が省ける点もうれしいポイントです。
利用料金は運営する自治体によって異なりますが、多くの場合において数百円程度であり、民間の宅食サービスよりさらに続けやすい金額設定になっています。
ITツールの貸与・購入の補助
人感センサーやカメラ、緊急通報のための機器を貸し出す事業を実施している自治体もあります。近年は「loT」と呼ばれる通信装置が内蔵された給湯ポットや照明機器、テレビなどの日常家電を購入する際の補助金を支給するケースも増えてきました。今後、AIやロボットが普及するにつれ、ITツールのニーズはさらに高まるでしょう。
また、見守りに関するスマートフォン専用のアプリケーションを配信し、高齢者が各自でダウンロードするスタイルもあります。GPS機能により、迷い人を捜索・通知したうえで指定の場所に通知を自動送信することが可能です。
地域交流の活性化
地域におけるサロン活動を通じた住民同士の交流を促し、見守りにつなげている自治体もめずらしくありません。孤立しやすい傾向にある独居高齢者の社会参加を促し、いきがいや趣味などの楽しみを作り出します。
高齢者を対象とする定期的な集まりにより、身近な高齢者の親睦が深まれば、互助の見守りにもつながるでしょう。定期的な体力診断やレクリエーションによる運動教室を開催し、運動不足の解消と体づくりも兼ねているケースもあります。
日常生活の扶助
ゴミ収集の戸別訪問やホームヘルパー派遣など、身体的な不自由から日常生活に支障のある高齢者を自治体で支援する事業です。頼れる人がいない一人暮らしの高齢者が、衰えなどにより自らの手で家事ができなくなると、生活環境の劣悪化や心身の状態悪化が懸念されます。
日常的な家事をサポートする制度を活用すれば、身寄りがない高齢者でも一定の生活水準をキープすることが可能です。ホームヘルパーの派遣では、訪問型の見守りと同じく定期的な人とのふれあいが生まれる点もメリットだといえます。
民間との共同事業
自治体によっては、民間企業やシルバー人材センター、民間ボランティアなどと提携して宅配・配食サービスをはじめとする各種事業を展開しているケースがあります。近ごろ話題になっているふるさと納税を活用した見守りサービスやホームヘルパー派遣などを行っている自治体も増加中です。
一人暮らしの高齢者の見守りは、自治体単独ではなく地域全体との連携が欠かせません。民間との共同事業が増えれば、さらに充実したサービスの展開が期待できます。
自治体から提供される具体的な見守りサービスの種類を解説しました。民間と同じく、自治体による見守りにもさまざまな種類があり、利用者の好みや目的によって選択することが可能です。種類やサービス内容は自治体ごとに異なるため、利用を検討している方はお住まいの市区町村役場に問い合わせてみることをおすすめします。
一人暮らしの高齢者は日常生活や見守りサービスの利用などで何かと出費がかさみやすいうえ、経済的に困窮している方も少なくありません。そのため、独居高齢者の暮らしを助けるための支援金や補助金がないのか気になる方も多いでしょう。次の章では、一人暮らしの高齢者支援として支給される補助金に関する情報をお伝えします。
一人暮らしの高齢者に対する自治体独自の支援金・補助金はある？
現在、自治体が一人暮らしの高齢者を対象とする支援金や補助金を本人に直接支給している事例はありません。しかし、見守りサービス拡充を支援するための企業や事業者に向けた補助金であれば存在しています。
たとえば、過去には新型コロナ感染症拡大の影響を受け、全国的に介護サービスの事業所などへ負担を軽減するための補助金を交付していました。広島県では、民生委員の訪問活動に関連する電話や、パンフレット作成等に係る経費などを補助する制度があります。福島県伊達市の高齢者見守り支援は、人感センサーやloTの導入にかかる費用の一部を自治体が負担する制度です。また、バリアフリーリフォームの費用を一部負担する自治体もあります。
一人暮らしの高齢者への補助金について解説しました。個人に支給する補助金はなくとも、高齢者を支援する事業所を援助する制度で自治体も間接的にサポートしています。
これまで自治体による独居老人への支援を紹介してきましたが、実際にどのような見守りが実施されているのかご存知ない方も多いと思います。事例を知れば、自分に適したサービスを選ぶヒントを得られるでしょう。
そこで次の章では、自治体による一人暮らしの高齢者見守りサービスの事例を説明します。
自治体の独居高齢者サポート事例
本章では、自治体における独居高齢者の見守りサービスの事例をみていきましょう。全国から以下の地方をピックアップし、一例を紹介します。
- 大阪府
- 東京都
- 東北管内
- 中部管内
- 中国・四国管内
- 九州管内
それぞれみていきましょう。
大阪府
大阪府で実施されている一人暮らしの高齢者の見守りサービスの一部を、下記の表にまとめました。
【大阪府の自治体における見守り事例】
| 事業内容 | サービス内容 | 提供する自治体 |
| 独居高齢者等見守りサポーター事業 | ・介護保険サービスが受けられない75歳以上の独居老人に対する見守りサポーターの個別定期訪問
・見守りサポーターには、ボランティアや地域住民などから任命される |
大阪市ほか |
| 大阪市認知症高齢者見守りネットワーク事業 | ・認知症による徘徊への対策および早期発見・保護
・徘徊・行方不明者の特徴を自治体の協力者に送り搜索の手がかりにする |
大阪市 |
| 消費者安全確保地域協議会 | ・消費に関する被害に遭っている可能性がある高齢者の個人情報を共有
・個人情報の提供の可否については、本人の意思を問わない |
八尾市、和泉市ほか |
厚生労働省による認知症高齢者等の行方不明時の早期発見にかかる協力協定のもと、見守りネットワーク形成とサポーター養成を実施しています。（参考：今後の認知症高齢者等の行方不明・身元不明に対する自治体の取組の在り方について｜厚生労働省）
東京都
東京都では、高齢消費者見守り推進モデル事業を実施し、各市区町村と連携してさまざまな事業を実施しています。取り組みの一例を、下記の表にまとめました。
【東京都の自治体における見守り事例】
| 事業内容 | サービス内容 | 提供する自治体 |
| 熟年・高齢者を対象とする相談室の設置（令和元年度） | ・支援を必要とする熟年者の情報共有と出前講義の実施
・啓発誌・グッズの配布 |
江戸川区、小金井市 |
| 地域包括支援センターとの連携事業（令和元年度） | ・見守り連絡シートによる連絡体制の確認
・「悪質商法撃退キャラバン」による出前講義など |
国分寺市 |
地域包括支援センターや見守り関係者などと連携し、市区町村単位で先進的な取り組みを実施しています。（参考：東京都高齢消費者見守り推進モデル事業｜東京くらしWEB）
東北管内
東北管内における見守り事業実施の事例は以下のとおりです。
- 「ふれあいサロンあかぬま」の運営（北海道）
- 配食サービス（いわき市）
- 電話安否確認（岩手県）
- マグネットを利用した在宅・安否確認（東北地方の市町村 ）
- 配食サービスおよび人感センサー（福島県）
（参考：一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査 ＜結果に基づく通知＞ ｜総務省）
中部管内
中部管内では、下記のような見守りを実施した事例があります。
- ひとり暮らしの方などの支援（愛知県）
- 自立した生活の支援（長野県）
（参考：一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査 ＜結果に基づく通知＞ ｜総務省）
中国・四国管内
中国・四国管内では、高齢者の犯罪・詐欺被害の防止や緊急時の対策に、次の事業が行われています。
- 消費者被害防止（愛媛県・鳥取県）
- 緊急通報装置の貸与と配食・給食サービス（岡山県）
（参考：一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査 ＜結果に基づく通知＞ ｜総務省）
九州管内
九州管内では、一人暮らしの高齢者の自宅訪問を強化し、確実な安否確認と実情の把握を実施している事例があります。
- 民間事業所と提携しての訪問安否確認（福岡）
- ひとり暮らし高齢者訪問事業（熊本県）
（参考：一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査 ＜結果に基づく通知＞ ｜総務省）
全国各地の自治体における独居高齢者見守り事例を紹介しました。都道府県および市区町村が連携し、一人暮らしの高齢者でも住みやすいまちになる取り組みを実施しています。
さまざまな見守りサービスがある中で、具体的にどのように利用すればいいのか迷う方も多いでしょう。次の章では、一人暮らしの高齢者の自治体サービス活用法について解説します。
独居老人の自治体サービス活用法
自治体が提供するさまざまなサービスのうち、一人暮らしの高齢者におすすめの利用方法を紹介します。
- 地域の老人サロン・サークルに参加する
- ボランティア活動にいそしむ
- 老人介護施設への入居を相談する
独居中の高齢者は、どうしても人とのつながりが希薄になりがちです。そこで自治体が実施する事業を活用し、地域住民や同世代との交流の機会を持つとよいでしょう。各活用法をくわしく解説します。
地域の老人サロン・サークルに参加する
同世代との交流の場である老人サロンに参加すれば、日ごろ人との交流が少ない一人暮らしの高齢者でも話し相手が見つかります。同じ趣味を持つ人が集まるサークルに加入することで、楽しみを共有できるだけではなく、日々の暮らしにはり合いがでるでしょう。
ボランティア活動にいそしむ
自治体が主体となって実施しているボランティア活動への参加も、地域交流の一つです。周辺の公的施設の清掃や募金など、自治体ごとにさまざまな活動が行われています。ボランティア活動に参加すると「誰かのために働いている」という実感が得られ、いきがいにつながるかもしれません。
老人介護施設への入居を相談する
一人暮らしが本格的に難しくなってきたら、施設の利用・入所を検討する必要が出てきます。自治体の窓口に相談し、要介護認定を受け、地域自治体による公的支援の助けを借りましょう。
介護保険サービスが適用になる老人ホームの種類は、下記の2箇所です。
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
なお、上記2つの施設の利用には、要介護認定が必要です。利用料金についても、認定の程度によって異なります。
要介護認定がなくても、有料の介護付きの民間施設や住居を利用することが可能です。介護保険サービス適用外のことでも相談に乗ってもらえる場合があるため、気になることがある方は、お住まいの自治体に相談してみてください。
独居老人でも人との交流の機会を増やせる自治体サービスの活用の仕方を説明しました。自治体ではさまざまな交流活動や相談会が開催されており、基本的に参加は任意です。自発的な行動が求められるため、ためらう方も多いと思いますが、ぜひ思い切ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。また、介護保険サービスが適用になる老人ホームの利用には自治体の窓口をとおして要介護認定を受ける必要がありますので、入所などを検討している方もまずは相談することをおすすめします。
冒頭でも触れたとおり、高齢者の一人暮らしには、さまざまな困難がともないます。生きづらさから、独居に限界を感じる方もいるかもしれません。次の章では、高齢者の一人暮らしが限界かどうかを見極めるポイントを紹介します。
高齢者の一人暮らしが限界かどうかを見極めるポイント
高齢者の一人暮らしには、たくさんのリスクが存在します。また、身内から独居を制止されることにより、限界を実感する方もいるでしょう。本章では、一人暮らしに限界を感じやすい下記のケースごとに、限界となるポイントを説明します。
- 加齢による慢性的な心身の不調
- 孤独感
- 安全上の不安
- けがの危険性
- 身内の制止
リスクの程度によって、一人暮らしが限界かどうかを見極めることが可能です。ご自身やご家族に当てはまる項目がないか、チェックしてみてください。
加齢による慢性的な心身の不調
加齢による衰えを強く感じ始めると、一人暮らしの継続が困難になります。不調が初期で軽いうちは問題ないかも知れません。しかし、身近に人がいない生活では時が経つにつれ心身の問題は深刻化しやすく、気づいた時には取り返しのつかないことになっているおそれもあります。
孤独感
人とのふれあいがないさみしさから、これ以上一人暮らしは続けられないと感じる方もめずらしくありません。いきがいや毎日にはりあいがないと虚無感を覚えやすく、孤独感に苛まれ、精神的に限界が訪れてしまいます。健康的で自分らしい生活を送るためには、健全な精神状態が不可欠です。孤独を感じないようにする対策を行わなければ、認知症や精神疾患にかかりやすくなる可能性も否定できません。
自分らしさを大切にした老後を送りたい方は、こちらの記事もぜひご一読ください。
関連記事：https://gee-baa.com/what_is_shukatsu/
安全上の不安
毎年、一人暮らしの高齢者をねらった犯罪・詐欺が多数発生しています。特に、高齢者の一人暮らしは人の目がなく、防犯対策も軽微になりやすいため、犯罪者のターゲットになりやすい傾向です。安全面での限界を感じる前に、防犯対策に関するアドバイスを受けるほうがよいでしょう。
けがの危険性
高齢者の一人暮らしは、生活に際しての不便が多いものです。足腰の衰えから、転倒して大けがをする危険性もあります。けがをきっかけに歩きにくくなると、家事や買い物など日常的な動作すら困難になり、一人暮らしが限界になりかねません。
身内の制止
本人としては問題なく生活していると考えていても、家族・親戚などから制止されるケースもあります。身内から一人暮らしを止められたり、介護施設への入所を勧められたりすると「そろそろ限界かもしれない……」と感じ始める方も多いでしょう。
一人暮らしの高齢者が限界を感じやすいポイントと、困難の度合いを見極めるポイントを解説しました。若いうちは平気でも、高齢になるとちょっとしたことでけがや病気をしやすく、一人暮らしが困難な状態になりがちです。また、独居老人は犯罪に巻き込まれる危険性も高く、身内から一人暮らしの継続をやめたほうがいいといわれる方も少なくありません。
限界を感じたら家族との同居や介護施設への入所で対処できるでしょう。とはいえ、身寄りがない高齢者の方や、できる限り一人暮らしを続けたいと考える方にとっては、簡単には解決できない問題でもあります。
次の章では、高齢者がよりよい一人暮らしを続けるためのコツを紹介します。身寄りがない方でも、一人暮らしを充実させるきっかけを掴めれば、限界を感じることなく毎日を楽しめるようになるかもしれません。
身寄りがない高齢者の一人暮らしをよりよくする5つのコツ
高齢者が一人暮らしを楽しむためには、次の5つのポイントを意識することをおすすめします。
- 独居老人のリスクに向き合う
- いきがいを見つける
- 社会とのつながりを保つ
- 生活習慣を見直す
- 独居老人の不安・心配を気軽に話せる窓口を確保する
いずれもちょっとしたコツですが、実践するだけで毎日が大きく変化する可能性があります。各ポイントをそれぞれみていきましょう。
独居老人のリスクに向き合う
一人暮らしをしている高齢者の方やそのご家族は、犯罪・詐欺やけがなど、独居における日常生活の危険を把握しておきましょう。置かれた状況に向き合うのは不安かもしれませんが、リスクにきちんと向き合わないことには、解決策も見えてきません。現実を見つめ、現在の暮らしに足りないものを考えてみてください。
独居老人のリスク対策については、こちらの記事も参考になります。
関連記事：https://gee-baa.com/elderly_person_living_alone_watch_over/
いきがいを見つける
一人暮らしの高齢者の方こそ、いきがいを見つけておくことをおすすめします。高齢になると、何をするにも億劫になってしまい、趣味やいきがいを見失いがちです。いきがいがないと、生活に張り合いが出ず、無気力になってしまうでしょう。特に、一人暮らしで孫や家族との交流がない方は、生きがいがないと悩んでいる方も多いことでしょう。
いきがいは、日常的な活動や交流の中から生まれるものです。自治体の交流会やボランティアに参加すれば、活動の中でいきがいになるポイントがみえてくる可能性があります。思いきって老人サロンやサークルに参加してみることで、これまでとはちがった毎日に変化するかもしれませんよ。
社会とのつながりを保つ
独居高齢者の方は、社会的に孤立しないよう注意してください。引きこもってしまうと人との触れ合いが少なくなり、社会とのつながりを保てなくなります。心身の病気やけがが原因で外出が難しい場合は、見守りサービスなどでの人との関わりでも構いませんので、少しでも人と会ったり話したりする時間を持つよう意識してみましょう。
生活習慣を見直す
身近に人の目がない状況に慣れてくると、生活習慣が乱れやすいものです。不規則な生活を送っている独居高齢者の方は、規則正しい生活を心がけたほうがよいでしょう。食事、運動などを基本とし、少しずつ改善を目指してください。自治体の配食サービスの利用や、レクリエーションへの参加による生活習慣の見直しもおすすめです。
また、健康状態をチェックしておけば、突然の病気からそのまま孤独死になるリスクを抑えられる効果もあります。かかりつけの病院を持ち、定期的に受診することも検討してみてください。
独居老人の不安・心配を気軽に話せる窓口を確保する
独居に関する悩みや不安があっても、どこに相談すればよいのかわからず困ってしまう方も多いと思います。また、現在の状況を変えたくても、自力では改善策が思い浮かばない方もいるでしょう。
一人暮らしの高齢者の悩みを気軽に相談できる窓口を知っておくことで、安心して生活を送れるようになります。相談をとおして、人との交流や安否確認もできるため、ぜひ信頼できる相談先を見つけておくことをおすすめします。
一人暮らしの高齢者でも快適かつ健康に暮らしていくためのコツを紹介しました。自らの置かれた状況に向き合い、現在の生活を改善する努力が求められます。とはいえ、自力だけでの改善はなかなか難しいため、気軽になんでも相談できる窓口を把握しておくとよいでしょう。
しかし、具体的にどのようなところで一人暮らしの高齢者の相談を受け付けてくれるのかはわかりにくいものです。そこで、次の章では、自治体をはじめとする見守りの代表的な相談窓口を紹介します。
見守りに関する相談窓口
一人暮らしの高齢者の見守りに関する相談は、下記の窓口で受け付けています。
- 地域包括支援センター
- 地区保健福祉センター・保健所
- 社会福祉協議会
- ケアマネジャー
- 民間の見守りサービス
それぞれの概要を説明しますので、ご自身に最適な相談窓口を見つけてください。
地域包括支援センター
地域包括支援センターとは、介護保険法第115条の46第1項により、住民の健康と福祉の充実を目的とする市町村が主体の組織です。住民から受け付けた介護をはじめとする相談に対し、多角的な視点から判断し、適切な支援に繋げてもらえます。
全国の市区町村に複数設置されていますので、管轄の窓口に問い合わせてみてください。
地区保健福祉センター・保健所
自治体の保健福祉センターや保健所では、身体的もしくは精神的な悩みや不調に関する相談を受け付けています。市区町村と連携し、さまざまな相談会や事業を実施していますので、気軽に参加してみてはいかがでしょうか。
社会福祉協議会
社会福祉協議会とは、民生委員をはじめとする複数の福祉関係者と協働し、さまざまな福祉課題に取り組んでいる組織です。高齢者のお金や契約に関する困り事や、後見人についての相談も受け付けています。
ケアマネジャー
ケアマネジャーとは、介護支援専門員とも呼ばれ、介護のケアプラン策定のお手伝いをする専門職のことです。市町村との連絡や連携も担っており、介護関係の悩み全般に対応してもらえます。主に老人ホームや介護施設に常駐しており、入所や通所の際に関わる方が多いでしょう。
民間の見守りサービス
自治体で実施されている見守りサービスは、民間企業・事業所からも提供されています。利用に際して料金がかかることもありますが、リーズナブルな価格で充実した幅広いサポートを受けることが可能です。独居老人のあらゆる相談に乗ってもらえるうえ、連絡できる時間帯の自由度も高いのが特徴です。
民間の見守りサービスについては、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
関連記事：https://gee-baa.com/watch_over_the_elderly/
一人暮らしの高齢者の悩みを相談できる窓口について説明しました。自治体の窓口に相談する手もありますが、利用制限があることも多く、それぞれ担当が分かれているためどこに相談すればいいのかわからなくなってしまいがちです。独居老人に関する相談先に迷ったときは、民間の見守りサービスの相談窓口に相談することをおすすめします。いつでも幅広く柔軟に対応してもらえるだけではなく、一人暮らしや老後の豆知識を聞けたりと、多くのメリットを得られるでしょう。
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まとめ
全国の自治体では、一人暮らしの高齢者をサポートする見守りサービスを地域全体と協働して提供しています。ただ安否確認するだけにとどまらず、地域社会全体の副次の充実を目指し、さまざまな取り組みを実施中です。
独居老人が自分らしく生きていくためには、一人暮らしのリスクを把握したうえで、心身ともに健やかになれる方法を模索する必要があります。自治体の見守りサービスを利用して交流する機会を得るのも一つの手ですが、不安やためらいからどこに連絡すればいいのかわからなくなってしまいますよね。高齢者と離れて住むご家族にとっても、どの方法が親にとって最善なのか見極めるのは難しいものです。
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