【この記事を書いた人】

CLASSIX株式会社　営業/終活アドバイザー

高齢者見守りサービス8タイプの比較とメリット・デメリットや選ぶポイントを徹底的に解説！

「親がさらに高齢になり、自分の知らないところでもしものことが起こったら……」

「高齢者がひとり暮らししていると犯罪などのトラブルに巻き込まれるのでは？」

「自分に代わって親の日常生活をサポートしてくれるサービスはないのだろうか」

このような高齢の親や家族に関する心配を抱えている方がいるのではないでしょうか？

高齢者の暮らしには、健康や孤独への不安、犯罪や詐欺に巻き込まれる危険性など、さまざまなリスクが潜んでいます。

しかし、諸事情により同居は難しいケースも多いでしょう。とはいえ、施設に入所させるのは気が引けるうえ、本人が抵抗を示すこともめずらしくありません。

家族による長期的な見守りが困難な場合は、見守りサービスによるサポートを受けるのがおすすめです。見守りには、自宅に直接訪問するタイプやカメラ・センサーなど、複数の種類があります。

アプリや家電、ペンダントをはじめとするツール・グッズなど、使用感にも違いがあるのが特徴です。どのタイプを選択すべきかは、それぞれの特徴を理解し、本人や家族が納得する方法を比較検討しなければなりません。

今回は、各種見守りサービスの類型と選び方について、メリット・デメリットを踏まえ徹底的に解説します。

「見守り」とは

「見守り」とは、高齢者の安否や生活状況を確認し、安心して暮らせるようサポートすることです。離れて暮らす親の状況を見守るだけではなく、健康維持や防犯など、さまざまな不安を解消することも含みます。

見守りは、その程度により主に以下3段階に分けられます。

専門的な見守り
担当による見守り
緩やかな見守り

引用：第4版高齢者等の見守りガイドブック｜東京都福祉保健局

専門的な見守りは、専門の相談機関が認知症や虐待などの大きな困難を抱えた人に対してケアを提供します。担当による見守りでは、地域の担当者が見守りを必要とする人の自宅等へ定期的に訪問し、安否確認や声かけ等を行う形式です。

緩やかな見守りは、上記2点の見守りとは異なり、形式として定められた方法による見守りではありません。地域に住む一般の人々が、日常生活の中で異変を感じる人がいる場合に、簡単なサポートを行ったり、専門の相談機関に繋げたりする任意の見守り方法です。

従来では、人の手が直接介入する見守りが一般的でした。IT技術が進歩した現代においては、ICT機器などを活用した遠隔操作による見守りも実施されるようになっています。

このように、見守りにはさまざまなスタイルがあり、介護保険の適用範囲も異なります。高齢者を見守るためには、状況に応じて組み合わせて適切にサポートする必要があるでしょう。

高齢者の見守りの概要について解説しました。高齢者の見守りにはさまざまな方法があり、本人の状態や環境に応じて柔軟にサポートする体制が求められます。

現在、高齢者の見守りの重要性が以前にも増して問われるようになりました。見守りの重要性が高まった背景には、どのような課題があるのでしょうか？

次の章では、高齢者を見守る重要性の高まりとその背景について説明します。

見守りの重要性

見守りの重要性が高まっている背景には、次のような社会問題があります。

ひとり暮らしの高齢者の増加
家族による介護の困難
介護の人手不足

上記3点の問題について、それぞれみていきましょう。

一人暮らしの高齢者の増加

見守りの重要性が高まっている要因のひとつとして、高齢化の進展により、一人暮らしをしている65歳以上の高齢者が年々増加していることが挙げられます。

内閣府の発表によれば、令和2年（2022年）における一人暮らしの高齢者の人数は671万7,000世帯であり、人口に占める割合は男性15.0%、女性22.1%となっています。昭和55年の時点と比較すると、単独で暮らしている高齢者の人数は約7倍に増加しているのです。（参考：令和4年版高齢者社会白書｜内閣府）

一人暮らしの高齢者の増加は今後も続き、令和22年（2040年）には現在からさらに1.3倍以上の896万3,000世帯になると予測されています。つまり、日本の全人口の2割以上が一人暮らしの高齢者になる可能性があるのです。

近年は、地域の繋がりが希薄になっており、誰にも頼れない高齢者が少なくないでしょう。このため、一人で暮らす高齢者に対しては、急な怪我や病気などもしものことがあったとき、迅速な対応ができるとは限りません。

実際に、一人暮らしをしている高齢者のうち、半数以上もの割合の方が孤独死に対する不安を抱えています。（参考：令和4年版高齢者社会白書｜内閣府）

上記のような状況の中で、単独でも安心して暮らしていける社会を実現するためには、見守りネットワークの拡充が不可欠だといえるのです。

家族による介護の困難

家族による介護が難しい点も、見守りの重要性を高めています。

高齢者の介護は、専門的な知識やスキルがなければ難しく、家族による介護では適切な処置ができないケースも少なくありません。認知症や精神疾患がある場合、徘徊のおそれなどにより、昼夜問わずの介護・見守りが求められます。

介護によって家族にかかる負担は身体的・精神的ともに非常に大きいでしょう。

また、介護にまつわる虐待問題も深刻化しており、家族などの養護者による被害が全国的に増加しています。実態として、令和2年における高齢者の虐待に関する相談や通報の件数は3万5,774件であり、そのうち1万7,281件が虐待と判断されました。（参考：令和4年版高齢者社会白書｜内閣府）

加えて、家族による「老老介護」も大きな問題です。老老介護とは、高齢者の手による高齢者の介護を指します。内閣府の調査では、高齢者の介護をしている家族のうち、男女とも70%以上が60歳以上だとわかりました。（参考：令和4年版高齢者社会白書｜内閣府）

もし介護高齢者が単独で暮らしている場合でも、別居している家族の介護負担はますます増加するでしょう。同居・別居にかかわらず、本人・家族がお互いに安心して暮らしていくために、見守りは非常に重要な課題なのです。

介護の人手不足

見守りの重要性の高まりは、高齢者の増加に反し介護業界の人手が不足していることも関係しているといえます。

厚生労働省の調べによると、2023年度に必要となる介護職員の人数は約233万人です。将来的な必要人数を見ると、2025年度には約243万人、2040年度には約280万人であると見込まれています。

なお、必要とされる人数の不足は、2025年度までは1年あたり約5万人、2040年度までだと約3万人です。（参考：第８期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について｜厚生労働省）

「介護労働者の確保・定着等に関する研究会　中間取りまとめ」によると、介護の人手不足の原因は、心身ともに重労働であることや低賃金や待遇の悪さ、キャリアアップの可能性が見込めない点などだといわれています。（参考：介護労働者の確保・定着等に関する研究会　中間取りまとめ｜厚生労働省）

また、少子化の問題も根深く関わっており、このまま減少が続けば令和47年（2065年）には、65歳以上の高齢者1人に対し、現役世代1.3人で支えなければならないのです。（参考：令和4年版高齢社会白書｜内閣府）

これまでも介護職の処遇改善・支援に関するさまざまな施策がなされてきましたが、人手不足感はいまだ拭えません。介護職に対するマイナスイメージもあり、人手の確保に難航している状況です。

介護の人手不足を補うためには、地域で包括的にケアする新しい見守り方法を積極的に取り入れていく必要があるといえるでしょう。

見守りの重要性が高まっている要因を解説しました。現代の日本は、少子高齢化やライフスタイルの変化にまつわる社会の諸問題が複合的に絡み合っています。安心・安全な生活には、地域による包括的な見守りが欠かせません。

現在の状況下において、さまざまなスタイルの見守りサービスが提供されています。次の章では、見守りサービスの種類についてみていきましょう。

見守りサービスの8つの種類

見守りサービスの種類は、主に以下8つの種類が代表的です。

訪問タイプの見守り
カメラ・センサータイプの見守り
電話・メールタイプの見守り
アプリタイプの見守り
loTタイプの見守り
宅配・宅食タイプの見守り
施設利用タイプの見守り
地域自治・ボランティアタイプの見守り

それぞれのタイプの特徴と費用の相場を説明します。

訪問タイプの見守り

「訪問タイプの見守り」とは、自宅で暮らす高齢者のもとにスタッフが直接出向くスタイルの見守りです。定められた回数・タイミングで職員が派遣され、高齢者の安否確認や生活状況の聞き取り、心身や暮らしの中での困りごとなどに関する相談が行われます。

このほか、水道メーターの点検などの際に見守りも併せて提供するサービスなどもあります。確認の結果は、報告書等にまとめられて家族に伝えられるのが一般的です。

直接顔を合わせるため、会話による人との繋がりなどができ、小さな異変にも気づきやすくなります。一人暮らしで他者との会話の機会が減った高齢者にとって、日々の楽しみになり、ストレス解消や脳へのいい刺激になる効果も期待できるでしょう。

付随サービスとして、病気やけがをしたときの補償や地域の情報や法律・税金などに関する情報提供、介護やサービスについての相談ができるサービスもあります。ちょっとした力仕事や軽作業などを手伝ってもらえるのも助かるポイントです。

費用相場	・月額2,000円〜2,500円程度

カメラ・センサータイプの見守り

「カメラ・センサータイプの見守り」とは、生活スペースにカメラやセンサーがついた端末などを設置し、日常生活における動作を見守るシステムです。ペンダントなど、身につけるタイプの端末になっていることもあります。

センサータイプでは、人の動きや温度、部屋の明るさの状況、トイレの回数などをセンサーが感知します。非常通報としての機能も兼ねており、異常を検知した際や一定時間以上に渡って動作をできないときは、家族へ通知することが可能です。

通報ボタンを押せば警備員や警察に駆けつけてもらえたりするサービスもあり、防犯効果も期待できるでしょう。

カメラ型であれば日常の様子を24時間365日リアルタイムで確認できるうえ、相互でのやり取りが可能な場合もあります。カメラ・センサータイプの見守りは、状況確認だけではなく、家族の健康や介護に関する相談ができるのも便利です。

費用相場	・ツール設置などの初期費用や設置費：レンタルは20,000円〜50,000円、買取だと200,000円以上かかる場合もある・月額2,000円～10,000円程度・保証金が別途20,000円程度

電話・メールタイプの見守り

「電話・メールタイプの見守り」は、決まった日時に電話やメールで連絡し、安否確認をするサービスです。AIなどによる自動音声またはメールで状況に関する質問に回答する形式と、人と会話するシステムがあります。

回答結果・通話内容は家族に通知されるため、離れている親の状態を把握することが可能です。電話するタイミングや時間帯、頻度も、本人の希望に応じて選択できます。

話を聞く専門的な知識を有する担当者が連絡を取るため、人と話す機会が少ない傾向にある高齢者の方に好評です。もしもの事態が起きたときに備え、補償がセットになったサービスもあります。

費用相場	・初期費用2,000円程度・月額500円〜1,500円程度

アプリタイプの見守り

「アプリタイプの見守り」とは、スマートフォン・タブレット等に見守りのアプリケーションをダウンロードするスタイルを指します。現在地の確認や、動きを感知して知らせてくれる機能を備えています。

外出や帰宅のタイミングもわかるうえ、異常を感知して通知やメッセージが送信されたり、警察や救急に自動で通報したりする機能が備わっている点も特徴です。

総務省「令和3年版情報通信白書」によると、2020年における60歳のインターネット利用率は8割以上であり、スマートフォンが一般に広く普及していることがわかりました。このうち、高齢者の割合を見ると以下のとおりです。

【年代別インターネット利用率（2020年）】

年代	インターネット利用率
13歳〜59歳	90%以上
60歳〜69歳	82.7%
70歳〜79歳	59.6%
80歳〜89歳	25.6%

参考：（令和3年版情報通信白書｜総務省）

60代では、13歳〜59歳と同程度にインターネットを使いこなしていることがわかりました。70歳以上になると割合は下がりますが、後期高齢者にもインターネットの普及が進んでいることが伺えます。

上記の結果から、スマートフォンなどのアプリを利用した見守りも高齢者に有効な手段だといえるでしょう。操作方法もシンプルなアプリが多く、スマートフォンの複雑な操作が苦手な方でも安心です。

費用相場	・初期費用2,000円程度・月額500円〜1,500円程度

loTタイプの見守り

「loTタイプの見守り」とは「loT＝インターネットが接続されたモノ」を利用した見守りです。最新技術を活用し、ICT機器が接続された家電や家具などに見守りを提供します。

具体例としては給湯ポットやテレビなどがあり、利用状況が通知されるシステムで安否確認が可能です。電球などの目立ちにくいloTもあるほか、ドアなどに取り付けられているケースもあります。

loTタイプの見守りは、非常に導入しやすい点が特徴です。見守りサービスは対象者に安心感を与えてくれますが、馴染みのないツールを使用しなければならない場合も少なくありません。

一方loTタイプでは、いつも使用しているモノをこれまでどおり操作するだけでいいため、日常生活に違和感なく溶け込みます。これまでの生活を一切変えることなく見守れるうえ、見張られているような違和感も減らせるでしょう。

費用相場	・初期費用は数千円〜数万円（ツールによって幅あり）・月額3,000円程度〜

宅配・宅食タイプの見守り

「宅配・宅食タイプの見守り」とは、食品や荷物を届ける際、同時に安否確認を行うサービスです。依頼する頻度によっては、毎日でも人の目による見守りが実施されます。

宅食タイプを利用した場合、食事の栄養管理と同時に安否を見守れるため、高齢の一人暮らしでも安心です。提供される食事は、高齢者が食べやすい味付け、形状に配慮したうえで調理されており、準備や後片付け、大量の食べ残しなどの心配もありません。

専門的な知識なしに介護食を調理するのは難しい場合があるため、手軽に最適な食事を提供できるのもうれしいポイントでしょう。

上記のような食事のほか、食品や日用品などの買い物の代行を兼ねた見守りサービスもあり、頻回の外出が困難な場合に便利です。

費用相場	・1食400円〜500円程度（月額10,000円〜20,000円程度）

施設利用タイプの見守り

要介護認定を受けている高齢者の場合は、老人ホームなどの介護施設を定期的に利用することも見守りになります。具体的な例としては、次の2種類です。

訪問サービス
デイサービス

訪問サービスは、介護施設等から専門的な資格を持つ職員等が自宅に訪れ、生活の介助を行う訪問サービスです。一方、デイサービスは日帰りで通所し、施設で食事や入浴、ほかの利用者との交流が行われます。

施設を利用することで、専門資格を有したスタッフによる適切な見守りが提供されるため、家族としても安心して任せられる点が特徴です。

費用相場	・1回数百円〜2,000円程度・要介護度や介護保険によって限度額が異なる

地域自治・ボランティアタイプの見守り

「地域自治・ボランティアタイプの見守り」とは、住民同士で支え合う「互助」の取組です。地域の公的機関や国から委嘱された民生委員、自治体や民間のボランティアによって提供されます。

地域の住民に対し、日常的に様子をうかがい、声かけをすることで安否の確認と支援を行うのが主な役割です。定期的に高齢者の自宅を訪問して日常会話や地域の情報の伝達を行い、本人の相談に乗ったうえで必要に応じて専門機関に繋げてもらえます。

確実な見守りというより、日常の延長線上にある緩やかでさりげないサポートです。地域に根付いたサービスなため、気軽に相談しやすいのも特徴だといえます。公的サービスまたは身近な地域住民によるボランティアであるため、利用料金はかかりません。

ツールを使用したり特定のサービスが受けられたりするわけではありませんが、身近な場所に気にかけてくれる人がいるという安心感は、高齢者にとって大きな心の支えになります。

また、町内会や老人クラブ、趣味のサークルなどへの参加も一種の見守りです。人との交流を持つことで、様子の変化に気づいてもらいやすくなるでしょう。

費用相場	・基本的に無料・老人クラブやサークルは会費がかかる場合がある

種類別の見守りサービスについて解説しました。見守りにはさまざまなタイプがあり、高齢者本人の性格や生活スタイル、予算に合わせてサービスを選択できます。

適切な見守りおよび付随サービスの利用は、異変を迅速に感知し、命を守るために非常に重要な生活支援になるのです。

高齢の家族の見守りは、どのような機関から提供されているのかご存知ですか？サービスの提供元をあらかじめ知っておくことで、見守りの利用の検討がスムーズになるはずです。

次の章では、見守りサービスの提供元について説明します。

見守りサービスの提供元

見守りサービスは、主に以下4つの機関などから提供されています。

民間企業
介護施設
公的機関
地域社会

1つ目の提供元は民間企業です。警備会社や各種ツールのメーカー、宅配サービスなどによって見守りが提供されています。費用は企業ごとに幅があり、サービス内容や見守りの範囲によって異なります。

2つ目は介護施設です。介護施設を利用するには、原則として要介護認定を受けなければなりません。介護保険が適用になるため、費用負担も少ないでしょう。

3つ目は公的機関です。自治体により、配食サービスや家庭ゴミ訪問収集サービス、ICTや緊急通報機器の貸与など軽度の生活援助が運営されています。民間企業やNPO団体と協力した事業展開や、ふるさと納税の返礼の場合もあります。

4つ目は地域社会です。民生委員による見守りのほか、地域住民による任意の活動が該当します。

見守りの提供元にはどのようなものがあるのかを解説しました。各種見守りを検討する際は、利用条件や費用などが異なるため、それぞれの機関に問い合わせてみてください。

見守りサービスの利用は、利用者本人はもちろん、その家族にとってもさまざまなメリットがあります。次の章では、見守りサービスのメリットについてみていきましょう。

見守りサービスのメリット

見守りサービスを利用した場合、以下のようなメリットを得られます。

安心感が得られる
切れ目なく見守れる
手軽に見守れる
もしものとき迅速に対応できる
防犯対策になる
人との繋がりを保てる
付随サービスが充実している

上記7点のメリットについて、詳しく説明します。

安心感が得られる

見守りサービスを利用することで、いつでも見守ってもらえているという安心感を得られます。家族が遠方に住んでおり、定期的な直接の安否確認が難しい場合に便利です。

センサー型やカメラ型などを利用すれば、離れている場所で何か起きたときでもすぐに感知できます。直接の安否確認を負担に感じる方でも、見守りツールを活用することで安心して生活できるでしょう。

切れ目なく見守れる

見守りの種類によっては、長時間に渡って切れ目なく高齢者を見守ることが可能です。24時間365日対応している見守りサービスもあります。

一緒に暮らしていたとしても、夜間や家族の外出時なども見守り続けるのは難しいものです。見守りサービスを利用すれば、常時見守り続けられる点が大きなメリットだといえます。

手軽に見守れる

見守りサービスを適宜導入することで、高齢者の見守りにかかる家族の負担を軽減できます。システムや機器の操作方法もシンプルで簡単なものが多く、手軽に安心を得られます。

日常生活で使用するツールを通して見守れるサービスもあるため、本人のストレスも少ないでしょう。

もしものとき迅速に対応できる

熱中症や脳梗塞などで突然倒れ、意識不明になったり自分で通報できない状態になったりしたとき、見守りサービスを利用していれば迅速な対応が可能です。

火災、ガス漏れなどの事態の際にも、消防・救急に自動で通報してくれるシステムも提供されています。かかりつけの病院に連絡してもらえるサービスもあり、救急搬送時にも安心です。

防犯対策になる

見守りサービスを導入することで、防犯対策にも繋がります。犯罪に巻き込まれたときや危険を感じたとき、簡単に通報することが可能です。

緊急要請に応じ、警備員や警察が駆けつけてくれるため、一人暮らしの高齢者でも安心して生活できるでしょう。

人との繋がりを保てる

直接訪問・電話してもらえるサービスでは、人の温もりに触れられる点がメリットです。

ひとり暮らしの高齢者の方は家にこもりがちになるケースも多く、人間関係が希薄になりやすい傾向にあります。見守りサービスのスタッフとの定期的な会話のほか、老人会・サークル等への参加によって、生きがいや日々の楽しみが見つかることもあるでしょう。

付随サービスが充実している

見守りサービスでは、安否確認だけではなく、健康や日々の悩みごとの相談にも乗ってもらえます。

サービスによっては介護に関する相談や栄養管理、買い物など日常のサポートを受けられるものもあり、QOL（暮らしの質）を高めることにも繋がるでしょう。

見守りサービスの利用によって得られるメリットについて解説しました。高齢者が安心して暮らせるようサポートし、生活の充実感を高めるためには、見守りサービスの導入が欠かせないといえるでしょう。

他方で、見守りサービスは適切に導入しなければデメリットが生じる場合があることも知っておかなければなりません。次の章では、見守りサービスのデメリットについて説明します。

見守りサービスのデメリット

見守りサービスのデメリットは以下4点です。

見守りツールを使いこなせない場合がある
誤報のリスクがある
抵抗感を示す人もいる
利用できない場合がある

それぞれ確認してみましょう。

見守りツールを使いこなせない場合がある

見守りサービスは、利用者本人がツールを使いこなせない場合がある点に注意してください。基本的に操作方法は簡単とはいえ、機器の操作に慣れていないと困難なケースがあります。

たとえば、メールによる見守りでは、送受信の操作ができないと安否確認が不可能です。また、スマートフォンなどを持ち歩く習慣がない方にとっては、効果を十分に発揮できないでしょう。

また、見守りツールを設置するタイプでは、センサーなどが感知できない場所でのトラブルに対応できません。

見守りサービスを利用する際は、可能な限り操作がシンプルなものを選択し、機器やツールの使い方を本人にきちんと理解してもらうことが重要です。

誤報のリスクがある

見守りサービスの利用には、操作ミスなどによる誤報のリスクが付き物です。センサーなど目視での安否確認ではない場合、何らかのトラブルにより問題がないにもかかわらず通報が作動してしまい、大騒ぎになる可能性があります。

しかし、通報に慎重になりすぎた結果、事態が深刻化する可能性もいなめません。多少の誤報は仕方がないと割り切り、不安が生じた際には遠慮なく通報するよう利用者本人に説明したほうがいいでしょう。

抵抗感を示す人もいる

見守りサービスに抵抗感を示す人がいます。カメラやセンサーで常時見張られているように感じ、見守りを拒否する高齢者の方も少なくありません。抵抗なく導入するためには、プライバシーに配慮された見守りサービスや日常的に使うloTタイプの見守りがおすすめです。

また、本人が通報に遠慮してしまい、緊急時に効果を発揮できない場合もあります。うまく通報する自信がない場合は、緊急事態を察知し、自動で通報するシステムを利用するといいでしょう。

利用できない場合がある

どのような方でもすべての見守りサービスを利用できるわけではありません。例えば、介護施設の利用は、原則として認定基準を満たす必要があります。

とはいえ、費用を支払えば特に制限なく使用できるサービスが大半です。施設などの利用でなくとも、状況に応じて適切なサービスを活用することで高齢者の安心を保てるでしょう。

見守りサービスのデメリットについて解説しました。利用に際しての困難があったとしても、それぞれのケースに適切なサービスを選ぶことでデメリットは回避できるでしょう。

適切なサービスを選択するためには、どのような基準で選ぶべきかを把握しておくことが重要です。そこで次の章では、見守りサービスを選ぶ際のポイントについて説明します。

見守りサービスを選ぶ際のポイント

見守りサービスを選ぶ際には、以下のポイントが判断基準になります。

本人の意向
利用目的
生活スタイル
グッズ・ツールの操作感
費用
本人以外の申込や契約内容の変更・解約が可能か
プライバシーへの配慮

上記7つの優先順位を決めて検討すれば、最適な見守りサービスを選択できるはずです。

本人の意向

見守りサービスの導入を検討する際は、第一に親自身の気持ちを尊重してください。利用者本人が納得のうえでなければ、十分な見守り効果を発揮できないからです。

子どもは親のためと思っていても、先述のとおり見守りサービスに抵抗感を示す高齢者もいるため、親本人の気持ちをきちんと聞かなければなりません。

どれくらいのレベルの見守りを必要としているかも、本人の意向によってさまざまであり、必要なレベルに応じた見守りを選ぶべきです。

利用者本人とよく話し合い、お互いが安心して利用できる方法を選択しましょう。

利用目的

見守りサービスは、利用目的に適したサービスを選びましょう。一口に「見守り」といっても、カメラや通知のみのサービスなのか、直接顔を見たり話したりできるほうがいいのかによっても選択すべきサービスが異なるからです。

また、緊急時の対応が可能かどうかなども重要なポイントになります。利用してみて必要なポイントに気づくこともあるため、簡単なプランから始め、必要に応じて増やしていく手も有効でしょう。

生活スタイル

生活スタイルによって適した見守り方法が異なります。利用者本人の状態や能力、利用状況に合うサービスやグッズを選択してください。

また、見守ってほしいのは24時間体制か週に数回程度かなど、見守りの時間やタイミングもサービスによって幅があります。生活スタイルに合うサービスを選択することで、日常に違和感なく見守りを導入できるでしょう。

グッズ・ツールの操作感

高齢者は最新機器の操作が苦手なこともめずらしくないため、見守りグッズやツールの操作感も重視して選択することをおすすめします。利用者本人が複雑な操作をしなければいけないツールを利用するサービスだと、高齢者では活用できないおそれがあるからです。

見守りサービスを選択する際は、利用者自身に操作してもらい、意見を聞きつつ選択してください。どのようなグッズ・ツールが適しているかは、利用者本人が機器の扱いに慣れているかによって異なります。

どうしても機器の扱いが困難な場合は、可能な限り操作がシンプルな見守りサービスや、自動感知システムを利用した見守りであればどのような方にも利用しやすいでしょう。

費用

どれくらいの費用がかかるのかも見守りサービスを選ぶひとつの基準になります。見守りは継続的に利用するのが一般的なため、高すぎると費用が負担になる場合があるからです。

各種サービスは提供元や内容によって幅広い費用が設定されているうえ、介護保険適用になるもの、全額自己負担になるものなどさまざまな種類があります。

高額な見守りサービスだと親も気が引けるかもしれない可能性も考慮しつつ、長期的な視点から予算と費用、見守りの内容を検討し、利用しやすいサービスを選びましょう。

本人以外の申込や契約内容の変更・解約が可能か

見守りサービスには本人しか申込・変更ができないものもある点に注意してください。もし利用者本人が急に亡くなった場合、解約の手続きが複雑化する可能性があります。

家族が知らぬ間に契約しているケースもあるため、見守りサービスの利用について本人に直接確認するほうがいいでしょう。もし家族では変更・解約が難しいサービスを利用している場合は、状況に応じて見直しを検討しなければなりません。

プライバシーへの配慮

プライバシーに配慮した方法で見守ってもらえるかどうかも見逃せないポイントです。日常生活の安全を守るのも大切ですが、心理的負担を与える方法では逆効果になるかもしれません。

利用者本人の希望を聞きつつ、適切な見守り方法を選択する必要があります。近年はプライバシーに配慮された見守りも数多く提供されているため、さまざまな方法を提案してみましょう。

見守りサービスの選び方について解説しました。数多くのサービスが提供されている中で、どのようなサービスが最適かを判断するためには、本人の気持ちを尊重し、状況やスキルに応じたコストパフォーマンスを検討してください。

高齢者の見守りに関する不安がある場合には、相談を受け付けている窓口へ連絡してみてはいかがでしょうか。次の章では、介護などに関する相談窓口について説明します。

親の介護などに関する相談窓口

親の介護に関する悩みや不安を抱えている際には、以下のような窓口で相談を受け付けています。

地域包括支援センター
市区町村役場の担当課
高齢者見守り相談窓口
社会福祉協議会
消費者安全確保地域協議会
地域の民生委員
生活支援コーディネーター
地域福祉コーディネーター
ケアマネジャー

地域包括支援センターや市区町村役場の担当課では、介護の総合的な相談を受け付けています。専門的な相談窓口や支援制度の案内などを案内してもらうことも可能です。

「高齢者見守り相談窓口設置事業」を利用しての介護相談もできます。高齢者見守り相談窓口設置事業とは、高齢者への見守りや相談を行うために市区町村に設置されている制度です。上記の地域包括支援センターなどと連携し、問題の解決をサポートしてもらえます。

社会福祉協議会とは、社会福祉法にもとづき、高齢者が安心して暮らせるよう支援している団体です。地域の関係機関や住民とネットワークを構築し、配食サービスやサロン運営のサポートなども行っています。

消費に関するトラブルに関する悩みは消費者安全確保地域協議会に相談することが可能です。消費者安全確保地域協議会では、高齢者への声かけや詐欺などの注意喚起も行っています。

前の章でも解説した地域の民生委員は、民生委員法にもとづき、厚生労働大臣から委嘱された「特別職の地方公務員」に該当する職種です。地域住民の相談を主な業務としており、生活上の困りごとを抱えている人を見つけ、関係機関に繋げる役割を担っています。

民生委員には守秘義務があるため、どのようなことでも安心して相談できる身近な存在です。

生活支援コーディネーターは高齢者と社会を繋ぐ専門職であり、地域支えあい推進員とも呼ばれています。高齢者だけではなく、地域全体の困難を抱える人へのサポートを行う地域福祉コーディネーター（コミュニティソーシャルワーカー）への相談も可能です。

ケアマネジャーとは介護支援専門の資格であり、要介護認定を受けた人や家族へのさまざまなアドバイスを行っています。

親の介護などに関する相談窓口について解説しました。見守りや介護に関する悩みを抱えている場合は、相談機関に連絡してみましょう。どの機関に相談すればいいか迷っても、いずれかに連絡することで適切な窓口に繋いでもらえるはずです。

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まとめ

今回は、高齢者の見守りに関して詳しく解説しました。

少子高齢化による諸問題が深刻化している現代において、見守りサービスの利用の重要性はますます高まっています。

現在、さまざまなタイプの見守りが提供されています。メリット・デメリットも考慮しつつ本人の意向や利用状況に応じたコストパフォーマンスを検討しつつ最適なサービスを選択しましょう。

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